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お手を拝借、今日はどちらに赴きましょうか?7-7

ええ、そうですね、そろそろ時間が気になるのでしょう、約一分で、それでは事件の説明に移りましょう。ああ、ただし、いっておきますが、あくまでこれは予測であり、不確かな要素がたぶんに含まれた想像であることを、お忘れなく。はい、急いでますか、ええ、私もあなたたちとのおしゃべりで大幅な作業の遅れが発生してます。明らかに喫茶店の店員の業務を逸脱している、と訴えることも可能でしょう。そうですね、黙っている方が利口ですよ。私に喋るな、とは口が裂けても言えません、本当に黙りますし、それが私の標準の機能ともいえますので。さて、事件についてはどこから話しましょうか。端的に、ですね。まず、死体の移送が警察によって迅速になされなかった事態が死体の異常性を高めた要因であろうかと思います。どこで誰が何のために誰によって、という四つの基本的な問いのどこかが妙にクローズアップされたのは、何故でしょうか。紙面の回答者がおっしゃるように、ブルー・ウィステリアの店舗屋上でなければならなかった理由が被害者の特定と殺害にいたる経緯に犯人の動機とその犯人の正体に隠されてます。わかりきったことをって、しかしそれをおろそかに、安易に取り扱ったがゆえに、事件の概要すらつかめず、こうした外部に頼るはめになったのです。現状を真摯に受け止め、感情を殺して見定めるべきが寛容かと。最後の言葉は忠告ではありません、私にとっての利益に繋がるための指摘です。新しい事実は判明していない?そうですか。ええ、事件の進展はありえないでしょう。言い切らないのは、今後も続く可能性が限りなく微量に見え隠れしているから。犯人が次の犯行に打って出る、というのではまったくない。早合点はよしましょう。事件を起こすと何かしらの証拠があなた方の手に渡り、見られ、詳細に調べられる。それだけのこと。時間です。午後の準備に取り掛かってもよろしいでしょうか、この問いも本来ならあなた方に許可をいただく必要はないのです」