コンテナガレージ

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不躾だった私を、どうか許してくださいませ1-1

 昼下がりの市内、テイクアウトのランチを片手に男はコーヒースタンドのちょうど切れた列の最後尾に並んだ。洋風建築を思わせる飲食店の行列に並んだ時はそちらもずらりと人が並んでいたのだった。目の錯覚に思えたが、よく考えれば、コーヒーの出来上がりは数分程度、対してランチのテイクアウトは注文を受け取り、品物を運び、手渡し、料金を徴収するんだ、比べること自体が間違いというもの。

 仕事は休み。週末が稼ぎ時なので、平日に休みが回る。

 警察の質問に、答えた。男は思い返す。

 当日の飛行が法律に抵触するとは思えない。私は飛行船のパイロットで、停電のあの日は飛行船のフライト予約が埋まらなかったので、飛行船は格納庫に納まったままだ。うん、これでいい。しかし、何度目の確認だろう、彼は卑屈に鼻を鳴らした。 

 足を北に向ける、人通りの多い駅前通りを避けて男は一本東の通りを選んだ。コーヒーを購入し、直進せず道を引き返したのだった。信号を二つ越えて、数キロに渡る東西に伸びた憩いの場、公園と噴水とベンチに幅広の通り、背の高い赤い電波塔とそろそろ販売を今年の販売を終えるとうもろこしの売店が点在する区画にて食事の場所を探した。

 駅前通りに近い場所は人の往来も多くても、ベンチは空いていたが、食事風景を見られるのは気にかかるので、赤い電波塔のお膝元に移動し、腰を落ち着けた。こちらは観光客の割合が高かったので、彼らに混じった食事は目新しくもめずらしくもなく、風景に溶け込めた。