コンテナガレージ

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不躾だった私を、どうか許してくださいませ1-4

 男は一口頬張って中の具を確かめる。柔らかくなめらか、火を通した具材は冷えることでまとまりやすく、食べやすさも考慮に入れているのか、納得。

 私は料理は作らない、ほぼ外食で済ませるが、食材の元の形との違いによって、工程を想像でき、そこから作業の意味が知れる。何事も共通項がある、ということを私は言いたいのだ。ただし、だからといって、私が料理を作れるかは疑問であるし、十中八九、想像の八割を超える味にはお目にかかれないだろう。弁解をするのは、私が何でもできるような、言い方をするから、そう同僚に言われたからだ。特段気にも留めていない、改善は無為だとさえ思う。なぜか、私は予測を述べているつもり。

 多くの人は自分の技量に応じて発言を控えるらしい。要するに、実績と技量を持つと発言が完璧に許されるらしい。つまり一段下がって、技量だけとなると、発言の度合いが低下する。例外として、他人によく見られたい、あるいは自らの自信のなさを取り繕う人物が大勢の前での発言を好む傾向が挙げられる。

 まただ、今度は若い女性がつけている。デザインは他のチームに依頼した、私が要求したのは、目立った特長を限りなく削ぎ落し、十年後も身につける姿を想像に揚げる二点を要望に据えた。

 肉まんではなくサツマイモまんを口に押し込む、コーヒーとの相性もばっちりだ。そう思い出した、あの女と初めて会ったのは、コーヒーメーカーが故障し、代替品を購入するか、自ら分解し修理をするかを考える時間を一杯のコーヒーをロビーの共用自販機へ買いに席を立って考えているときであった。

 さすがにコートを着なくては、風が吹いて手の冷たさが意識に上がった。真向かい十メートル先のベンチ、その隣、その反対側の隣、そして私の右隣、もう一つ隣も、薄手のコートを羽織る。さすがに前は空けていたか、さっきまでは日が差して暖かかったのだ。