コンテナガレージ

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不躾だった私を、どうか許してくださいませ8-1

 秋の味覚週間、と小川安佐が題した先週は過ぎ去る。

 日曜があけ、新たな七日が時を刻む。

 いつものように地下鉄に店主は乗る。自家用車は運転しない、休日のみの利用と決めている。だからなのか、野ざらしの車は誤った理解に及んだマンションの住人が不当な駐車のビラをワイパーに挟めている、日曜の朝に出かけると、その処理が夏場の日課となった。

 どうでもいい考えを川に流すよう、捨てた。目を閉じる。適度な揺れに身を任せる、十数分の揺れだ。都会に職場を設けることは、こうした交通網が発達した都市では自動車よりも格段に正確な時間が読める。しかし、それは自らの生活を追い詰める要因にもなりうる、ということをおそらく車両の乗客のほとんどが認識に上げることにすら考えが及ばないはずだ。

 眠りこける、疲れきった目元、追いつかない睡眠時間、対外的なストレス、代わり映えのしない通勤。

 他人の意識は表面的な表情、服装。僕の観測を踏まえると、読めてしまえる。

 僕が目を瞑る理由はこれがすべてといえる。

 昨日の午前中に、取りまとめた移転に関する資料が店主の自宅に届いた。バイク便の利用は料金がどの程度、通常の配送サービスに比べて割高なのか、気になった彼である。玄関で出迎えた配送品は躊躇うことなく、僕に手渡された。本人確認は名前を呼ばれ、それに答えただけだった。

 それはさておき、店舗の移転は話のとおり、承諾を決めた。建築法の改正基準への抵抗は不動産屋の桂木の口から言われたときに、選択はほぼ切り捨てていた。抗った末に営業停止を回避した要求を押し通せる可能性が低いとはいえ、すんなりと了承を試みたのは、もちろんこちらにまったく非がないという状況であるにも関わらずにだが、その辺は試合後者がことの成り行きを見守る姿勢を貫いた。おまけに、店に対する従業員たちの現状を聞きだす絶好の機会に彼女たちには申し訳ないが、利用させてもらった。