コンテナガレージ

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不躾だった私を、どうか許してくださいませ8-5

 まずは、気温から歩み寄る。厨房に上がって、ピザ釜を真横に通りを眺めた。

 斜向かいに並ぶ人の列、テイクアウトのは数十分後の映像を先送っても最後尾のお客が残っている。現在の最後尾のお客ではなくて、新たに列に並んだお客だ。それほどにお客は一定の数のまま放出と参加を交互に行っていた。

 寒いのか、体感温度としてはそれなりに秋の気配だった、具体的な数字を今日は改札の大画面で確め忘れた。足早に、込み上がった移転先のシミュレートの改善点を念仏のように唱えていたんだ、仕方ない。ピザ釜に触る。上部は半円形にラウンド、間口は真四角に形成、灰と熱が元の灰色と赤茶色のレンガを火の当る内部色を変えていた。足元の薪は昨日のうちに館山リルカが用意したものだ。事前の準備である。

 顔を上げる。厨房、それからホールを見渡した。白いシーツがテーブルに掛かり、その上に椅子が逆立ちをして、シャンデリアに見初めてもらう、あるいは興味を引く仕草を取り続けた名残が漂う。

 外でテイクアウトを待つ時期はそろそろ見納めかもしれない、店主は店内でのランチを本日の食事形態と位置づけた。だが、メニューはどうするのだ、まだ何も決まっていない。そうなのだ。

 昨日は可もなく不可もなく、という気温だ。晴れ間も見えた、程よい秋の天候である。今日もそれを引き継ぐ、ビルの隙間から見えた空に暗雲が立ち込める様子は見受けられない。そろそろ秋から冬にかけての寒さに対する体の準備と心構えが拍子を合わせてくる時期か……。車内の服装を思い起こす、うーん、あまり着込んだ人は少ない、早朝という時間帯だからある程度の厚着を考慮しても、たしかにコートはほとんどの人が着ていた。手をこすり合わせる女性の乗客がいた、対面の右側だった。僕の左隣の男性はマスクをしていた、車内全体でマスクの装着は三割ほどを見かけたように思う。風邪による咳き込みが少なかった、つまり乾燥による粘膜の炎症、初期症状を懸念した対処、といえる。あくまでも店主の見解である。正確性・信憑性のほどはわからない。