コンテナガレージ

サブスク・日常・小説の情報を発信

手紙とは真意を伝えるデバイスである2-3

「まあ、まあ、合ってます。でも、盗み聞きっていうの少し語弊があるような……」安藤は口ごもる。熊田の発言を訂正するも、思い当たる節、あるいは客観的に状況を捉えて、熊田の指摘も一理ある、と感じたのだろう。ここの人物は誰もが正常な反応だ、熊田は目を細めた。

「人の話しを耳を済ませて聞いたんだ、それ以外の表現がどこにある」武本が追い討ちをかけた。

「もう少し言い方ってもんがあるでしょうに」膨れる安藤。

 そして、沈黙。

 熊田はコーヒーをすすって、口を開いた。両者は互いにそっぽを向いて磁石のように離れている。

「真島マリさんと、武本さんは以前、お付き合いをされていました」

「刑事さん」真島との関係を暴露された武本は言葉を止めるも、強制的な態度は表さない。

「やっぱり」眉を上げた安藤。しかし、小さく息を吐いた態度は安堵を示してる。

「秘密という約束でしたが、忘れたわけではありませんね?わざとだ」武本は冷静に熊田の態度を見極めた。

「お二人にはそれ相応に心身に動揺を与えなければ、本心を打ち明けてくださらないのでは、と考えていました」熊田は立ち上がる、休憩はここまで、日井田美弥都の思考に切り替える。「どうでしょうか?お二人は駆けつける前にエレベーターでお会いになっていたのでないのですか?」

「私は先に会議室、ここに来ていた」

「安藤さんは、いかかでしょうか?」

「……会ってはいませんよ。ですけど、武本さんは社長と端末で話していたように思います、私が部屋に入ったときに話している声を聞きましたから」

「話を聞いた?」熊田は二人に背を向けて言った。顔は斜め上を向いてる。

「ああっと、その、社長というのは、端末で武本さんがしゃべった言葉で、真島社長に対して名前を呼んだとは限りません」

「ありがとうございます。やっと言ってくれましたね」熊田は振り返る。「安藤さんの証言に対して、武本さんの意見をお聞かせください、私はまだ安藤さんの証言を完全に信用してはない。だが、もし社長とあなたが話していたのならば、社長はドアを開ける前まで、直前まで生きていたことになる。これは重要な手がかりです」

「話していましたよ。……ええ、社長です」

「間違いなく?」