コンテナガレージ

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白い封筒とカラフルな便箋

 潔い、了解は二の次。すべての理解は決して現実に登場を許されないのだと気がついてた。わかる人がまだこの世界に生きていたとは正直驚きであった。嬉しいことに、エコという不可思議な言葉の乱用は、見て取れなかった。代わりに管理維持のために欠くことのできない措置、という朱文字でしかも縦書きだったことも、反論への手順に面倒さを感じ取ったに違いない。そういった嗅覚は優れている。

「どっから嗅ぎつけたのか。はあ、昨日から電話がなりっぱなしでバッテリィーの充電がすっかすかです」カワニはパンとソファを叩く。埃が上がることを彼は気に留めていないらしい、もしくは見えてすらいないのかも。ブース内の空気は常に清潔に保たれている。窓を設置できない分、こういった音響設備が置かれた遮蔽空間では空気の循環システムは不可欠である。私が歩いた幹線道路のほうが汚れた視認不可の埃が舞うのだから。汚れてしまう空気はこちらの思い込みか、アイラはコーヒーを運びつつ、考察を深めた。

 おもむろにカワニが立ち上がった隙に彼女はソファに着く。彼はひどく汚れた猫みたいに動きが緩慢。カップの一つをすっとテーブルに差し出した。飲みたくなければ、私があとで飲む。それぐらいの親切心、断られてれも無痛。

「ああ、これはどうも、すいません」彼は頭を下げた。少し気付きが遅れた、レスポンスの低下は疲れが引き起こしたのだろうか、……察すると、たぶん、いいや間違いなく何かしらの意図が含まれる。気配が雄弁に、まくし立てるのだ、語る以前に透けている。