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本心は朧、実態は青緑 7

 途切れたアキと不破の会話を長尺の長考が予見されるも、颯爽とアイラがそれを引き継いだ。

 唇の収斂、アキは、降りかかる予見される影響がよぎったのだろう。彼女は個人事業者、睨まれたら最後、仕事の供給はストップしてしまう懸念が終始付きまとう。……どこもかしこも本質を見誤るのだ。私は彼女の発言や思想を理由に代役を立てることない、アイラは代弁をした。不本意、大いに不本意だ。これだけはまず、言っておきたい。誰にって、私にだ。欺いた私に私からの謝罪。当然である、私は常に一人であるはずがないのだ。

「アキさんがバンに乗車したライブ中の待機は事前に予定されていたことで、それを利用した可能性。つまり犯人が内部の情報を取得し、犯行に及んだという見方もできてしまえる。警察は自らの落ち度を手が届かない高い棚に上げつつ、非公式の拘束の場を設け、しかも特定の証拠もない"状況による証拠"をかざし、犯行の有無を迫る。最も疑いがかかる近親者や関係者の行う手立てにしては、ありきたりでお粗末な処理。まして、あなた方は先週の事件の担当者であり、ここは他県の管轄のはず。警察は動物のような縄張りを強く意識する組織だと聞きます。事件について聴取を求める権限は当該県の警察に帰属するのでは?つまり、あなた方にこちらの事情をお伝えする義務はない、ということです。またそれでも、こちらの内情を引き出してはそれを餌に確信に迫る情報を、殺害の明確な過程を知りたいのであるならば、まずそちらが手の内を明かす、というのが礼儀をわきまえる者のあり方ではないでしょうか。私に言われるのです、非道徳な。それほどこれは道を外れた、堂々たる会合だといっているのです。お分かりになられましたか、刑事さん」

「ふーん。参りましたな」不破は片目を固くつぶる。胸を膨らませ大きくたっぷり息を吐いた、彼は言う。「……またしても手紙が見つかった、ズボンのポケットです。前回と内容に類似点が見られた。おそらく二人は顔見知りでしょう。私が見た限りでも筆跡はまるっきり異なります。亡くなった彼女たちが書いたものかどうか、そのあたりの発言は控える。まだ、証拠が足りていないのでね。私が、招集の理由を濁したのは、不確定な証拠によります。まだ納得されてませんね、アイラさんは」

「犯人が捕まって納得、という結末が私が求めるものだと言いたげ」

「違うのですか?……そうだ、そうか、わっかりましたよ。会場に詰め掛けるマスコミを想像したんだ」土井が一人、唸りつつ首を千切れそうに前後に振った。この人物はまだ私を一般的な認識下のスターに仕立て上げたいらしい。