コンテナガレージ

仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

犯人特定の均衡条件、タイプA・タイプB 2 ~ミステリー小説~

「……はい」
「十和田さんでしょうか?」
「そっちは?」
「O署の種田です」
「ああーあ、刑事さん。どうもっ」
「正午までにそちらに向かいたいと思いますが、事務所におられますか?」
「おられませんね。帰れないこともないですけどね」
「現在はどちらに?」
「えっと、どうして僕に連絡を?」
「前回の事件とは無関係、別件について尋ねたい質問があります」
「電話で言ってくれればいいですよ」
「どちらにおられますか?三度目は尋ねません」
「力ずくかぁ。あなたなら組伏すされても文句は言いませんよ、僕は大歓迎ですから」
「……」
「受け手が気を使う電話、こっちに主導権があるとばかり思っていたけど、思い込みかな。まあいいか、仕方ない、バカンスは今日で切り上げます。君村ありさのフリーライブの警護を終えてからであれば」
「その時間で結構です。こちらもライブ会場で待機します」
「積極的だなぁ、感心しちゃう」
「場所はこちらで調べます、それでは」
 十和田に対する評価が下されるなか、種田は目的地を調べた。
 フリーライブにはシークレットゲストが登場するらしい、シークレットゲスト及び君村ありさのファンには予測がつくのだろう。
 目的地が決まる、熊田がいの一番に退席、喫煙のためだ、続けて種田と相田が最後に鈴木が運んだ料理をきっちり平らげる。表の駐車場でしばらく煙との合流を避けた。目的地をナビに打ち込むと外の空気に酔いしれた。汚染を体感し浄化を味わえる。山ばかりであったら、空気がおいしいなどと口にはしない。呼吸が浅かったのだ、日々の係りごとにかまけて、体をおろそかに扱った。自然とは生命を脅かす空間、そのことは都合よく忘れ去られている。
 息を吐いた、そして取り込む。私は頭脳労働を武器に不可解、不可思議の解明に取り組んでいられる環境であるなら、下界と隔絶された施設はむしろ望んで入所するだろう。誰かでいようとする前に、私は私を選ぶ。
 彼女はシートベルトを着用、エンジンをかけた。携帯灰皿の所有者は鈴木と熊田の二人であった、よって後部座席に鈴木と相田が一つの灰皿を共有する。熊田は食堂の発言をひっそり撤回したらしく、彼は助手席に座る。しかし、特に問題があるわけでもない。
 大げさにわかりやすく長嘆にも聞こえる余韻、行き先を指し示したナビに従う種田はハンドルを切った、都内は活発に人が動き始めていた。