コンテナガレージ

仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

蓬 麻中ニ生ジヨウト助ケナケレバ曲ガリクネル 自ズトハ偽リ 4-4

 ※ 作業日誌 [日時]:八月 [時刻]:午前八時 [天候]:晴れ
 止まっていながら躍動をありあり想像させる、あの人から学びました。せっせと槌を振る私には見向きもせず膝の接触を契機に慌てた、本望かもしれない、見入られた対象であったのだから。不完全、一から掘り出さなくては。出来上がり、取り替える変遷を刻みつけよ。
 見えずとも人は理解に長じる、分かっていなかった、疎かとも言えず、しかしこちらが蔑ろ、とも言える。内部を外側をそして周囲を削る。未完成の右半身をあの人はすばらしい、と言い当てた。どちらが見事かは一目瞭然なのに。
 的確に〝この間〟を指摘された、汎化に堕ちるおぼろげな過去と今を見比べる、齟齬を曖昧に軽視していた私。飾りの上で踊り戯れていたのだ。そして離れた、忘れるほどの新鮮さを取り戻すの。画像に収めた、念のため。忘れてしまえ、強がりだろうな、強める、私は一から向き合える。
 暗い。明るいのかもしれません、だけれど昔を思い出すとやはり暗いのでしょう。私はすべてを、忘れたい。生まれ変わりたい。また、石を削るのだ。
 明かりを欲する、そのときには心から切望、お願いが心底自然と私のような偏屈な人にも誰に対してでも、できてしまえる、そんな気がしてなりません。喋らないことを利とし、石に込めました。今思うと少しは語りかけ耳を傾けることも許された、と記憶がよみがえります。私に見えていた景色を昔は否定されたのでした、もっとよく見てみなさい、そうではないのです、うそはいけません、と。ありのまま、私にとってのそれを、はい、私はどうやら閉じ込めていたらしいのですね、私に同意を得ています。だって私しか居ないのですから、この狭い世界には。友達だと家族だと伴侶だと思っているその人は、いつかいずれいつもの私なのでしょう。
 木漏れ日はまだらにでこぼこの道をキャンバスに、想い思いだ、この世界は。
 熱いです、喉も渇き、栄養が足りない。どこまで私なのだろう、どこまで離れれば私を取り戻せるのか、見もの、大いにだ。
 私を探したいのよ、そうに決まってるわ、だんだん近づいてきたんだもの。
 木槌がノミを叩きます、近づいたらいけない、命を落としかねないの、先っぽの硬いやつがね、ぱーんと飛んでくるんだから。暑くってもね、長袖を着なくてはいけません、作業場に入るときは大きなこえでおへんじをもらうまではどあをあけてはなりません。とんとん、かかんかん、しゅっしゅしゅっ、つくれると思ったの、忘れないように、顔を覚えてるうちにわたしはつくりたかったの、おとうさん。