コンテナガレージ

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仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

今日は何の日?2-7

 雄大な川だと波が立たない、何艘も船が行き交っているのに、びくともしないではないか。

 広く意識を持たなくては。僕は加えて感度も高めた。より広く、身近に、相手との共通項を見出して。算数みたいだ。数学というともっともらしい。どこで必要になるのか、教室で馬鹿にする目的で質問した生徒がいたっけ。あれも僕なのだろう。わかりきっていると錯覚して質問を投げかけずにいたんだ、お互い様。

 眠気が襲い、何十分か意識が途切れた。鞄を前に抱えるように体重を預けた。

 外はうっすらとオレンジと赤とピンクが混ざった色合いに変化していた。不思議と寂しさ、郷愁になんてたいそうな気分に浸る僕ではない。長距離列車を探さないと。窓口で買うと止められるかもしれない、自販機のような切符売り場があれば対処は可能かも。とにかく、行ってみないことには何も始まらない。

 たくましくなったのか?いいや、元々の僕が現れたのさ、これまでは必要なかった、それだけのこと。足りなければ人から借りたらいい、頼めばいい、磨り減らない僕は川を眺めて知れたんだからね。

 ほら、こうして自販機の水を買うときに腕を伸ばしてうまくボタンを押せなくても誰かが手を貸してくれた、もしかすると観光船から手を振った僕が見下した人かもしれない。あの人は、私で、ボタンを押したこの人も僕。

 初めての英会話、どうやら仕草と僕の発音で通じたらしい。相手もこちらを把握して、許容し、認め、見下し、あるいは蔑んでいるかも。だから、分かり合えるし、つたない英語は状況とジェスチャーによって意志を伝えられる。

 電車を降りた駅。街頭が灯る時刻。ワンウェイ、本当のこれでいいのか、と問い返されて僕は切符売り場の窓口にかろうじて顔を出して、頷いた。そして、次の目的地に出発したのだった。

 かつての光景を思い浮かべた。そしてまた、川に流す。繰り返される、水も海に流れ、水蒸気、雲に変わり、森に降り注ぎ、土壌が吸収、浄化され、川に流れ、僕の視界を行き過ぎる。一定のサイクル、循環。撒き戻しはできない、ここが、今が、現在が、目の前が、今日が単一で全体。

 店長は揺らいだ認識がどこから作用したのかを探った。なるほど、店に影響を及ぼし、世間で存在を賑わせるあの団体か、あれはいつのどこの僕だろうか、店長は腰をつけたお尻を払って、それとなく考えを動かせながら店へつま先を向けた。