コンテナガレージ

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独自追求2-2

 歓声が沸き上がった。私以外の観客が立ち上がったらしい。ゆっくりと時間を掛けて私も立ち上がることにした。ステージ脇で水色のハッピが口元を寄せて相談、もうすぐ登場するのだろうと推測。左側のステージ下、係員がアイドルの名前を告げた。最近注目されてる徒党を組んだアイドルらしい。こちらが恥ずかしくなる自己紹介もテレビをあまりみない私にだって慣れてきたのだから、多くの人もちろんこのステージに足を運んだ観客には当たり前でありふれて、異常を忘れかけている。いや、完全に普遍に形体をかえた。

 五人が特色となる色を携えて衣装の反映させているようだ。自己紹介に続いて曲のタイトルを告げると歪みかけたスピーカーが音を奏ではじめた。

 彼女たちの色が変わった。叩き込んだ技術の披露とは別ルートで天衣無縫に踊り、微妙にずれながらも息を通わせている。歌詞もありふれた言葉ばかり。それでも彼女たちから発せられるために作られたのなら狙い通りだろう。歌唱力の差に応じて上手い者だけが歌うというスタイルではないようだ。それぞれにパートが与えられて見せ場を作っている。好みのタイプを選びやすく、かつ彼女たちに自信をもたせる手法。もう、上手い下手は関係がないのかもしれない。また、捉え方は受け取り手が決める。

 飛び跳ねて、

 叫び、

 セリフを放ち、

 アクロバットなアクション。

 サビをむかえて、二番目を歌い、

 もう一度サビを迎えて上がり切らないうちにリズムを落ち着けて、観客を引き寄せる。

 そして、盛り上げて最高潮で歌い終わる。