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再現と熟成4-4

 汗を掻いた。それでも、近くのベンチに座っていると汗が体温を奪って涼しさが増した。

 第一の予測は外れてはいなかった。

 子供が親に手を引かれて歩きたい速度を上って忙しく足を回転。

 立証には数回の実証が必要不可欠となる。

 それでも笑顔で置いていかれないように速度を維持。

 私は何がしたいのだろうか?何度も湧いてくる疑問である。

 黄色の出っ張りで躓くが、宙に浮いて手が空に引かれると着地でまた同じ速度。親は右手の機械に夢中。

 わたしそのものでいたい。

 子供はアピールをはじめた。手にぶら下がり、止めようとする。しかし、親は遊んで欲しいと勘違い、片手間に上下運動で応じた。そうじゃないのに。

 子供と視線が交差する。

 聞こえているの?

 ええ。

 どうしたら良いと思う?

 どうしたいの?

 わかっているけど、駄目なんだ。ろくに聞いてくれないもの。

 すべての手をつくしたのかしら?

 引っ張ってみた。

 それだけ?まだ他にやれることはないかしら、探してみて?親の子供ではなくて、あなたの親なのよ、その人は。

 やれるかな?

 あなた次第ね。必要に駆られないと。

 電話ばっかりなの。

 口があるのになぜ伝えないの?

 だって驚くでしょう?

 優しいのね。でも、あなたを殺すことはないわ。親のために馬鹿になるべきではない。

 いいの?

 背中を押さないと進めない?足はつていると思うけど。

 やってみる。ありがとう。

 まだ何を起こっていないし、私は何も手を下していない。