コンテナガレージ

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お手を拝借、今日はどちらに赴きましょうか?7-1

「複数聞き及んだワードに飛行船の言葉が現れていたのは確かですね。あまり、最近では聞かれなくなったので、耳に残っていたのでしょう、普段ならとっくに忘れ去ってしまうたわいもないお客さんの会話。たぶん、あなたが言うように、事件との関連をお客さんも見出していたらしい、との予測を立てました。情報が少なすぎる場合においての予測は、憶測・想像の範囲を出ませんし、それゆえに納得させる材料も不十分だった。まあ、一席設けた食事での盛り上がりとしては有効的な手段といえましょうか。話が逸れたのはそちらの誘導、質問の仕方の不備だということも、ありますので。はい。ブルー・ウィステリアですか?会話で飛び交っていたように思いますけれど、金曜の午後九時以降にお客が口々話していた、というよりかは、日中つまりランチとディナータイムの前半から半ば頃、列に並ぶお客とカウンターから漏れ聞こえた、と記憶してます。さあ、会社の名称は聞いたことはありますが、私は新聞を読みませんし、ましてニュースも天気予報を週に一度ほど数分眺める程度で、ええ、そろそろテレビを売り払ってしまおうかとも考えてます。また、話が変わりましたね。いいえ、まだ時間はあります。はい、屋上の死体ですか、鑑識の検査を終えて視界に入らないようにコンテナに入れられていた、と。なるほど。いいえ、勘違いです。何もわかっていませんし、私は探偵ではありませんので。ええ、以前に頼まれて事件の全容というか可能性を提案してはいますが、それは私の店に起きた事態の対処ですので、必要以上に真剣に取り組みかつ建物に精通していた要素が大きく働いたのです。たぶん、あなた方は過大に私を評価してます。何でしたっけ、うまく聞こえません。はいはい、屋上の死体について。うーんと、どういえばいいのでしょうか。つまり、死体の人物がその場所で殺害をされたのか、はたまた別の場所で殺され労力を惜しまず屋上に上げて放置したのか、という根本の視点、争点を注目をするべきでは?階下の賑わいに乗じた殺害は大胆にして、しかし敢行されれば、それは行列の彼らはゆるぎない証人となりえます。本人たちを買収せずとも。または、大掛かりに彼らを抱え込んだかもしれません。はい、あくまでも予想ですから。滑りますよ足元。最後という言葉が最後だった試しは物語のどの場面でも言葉どおりに適用、使用されたことはありませんね。愛してるや一生幸せにする、といった恣意的な言動も同じく、長くは続かない。独身ですかって、質問の意図がわかりません。話を聞いてやってる態度は取りたくはありませんけど、あなたの出方によってこちらの態度は変えられることを、忘れないでいただきたい。改札が迫ったから、急かすのですね。いいでしょう。それでは最後に。単純に出来事、ことの起こりを辿ってください。誰が殺され、どのように亡くなったのか。場所は、時間は。そもそもどうして当該人物でなければならなかったのか。あいまいですね、はい、見えているだけの事象を追うのであれば、もう少し、いいえスムーズにお二人が望む解決には導けると思いますよ。おっと、左に寄りましょうか。階段です。あいまいですよ、喋った私がそう感じているのです、正しい感度だと、はい、ああっと、ではこれで」