コンテナガレージ

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不躾だった私を、どうか許してくださいませ1-8

 黙っていなくては。

 橋が見えてきた。川幅が広がったように思う、川上に振り返った。

 南下を始めた地点から現在地を比べると広さは目に見えて明らかだが、数メートル下流だと、違いを見出すのは難しい。変化率は低い。

 プロモーションも無事に終えた。一号店の状況は売り上げの数字、メディアの取り上げ、サイト上の個人評価等々、大よそ想定の範囲を上回る満足度だった。もう、これからは私の手の及ばない領域だ、見守る、……ただそれだけ。

 私は何も見てない。飛行船を飛ばしていた。理由はおいおい聞かれるまで、時間は残されてる。

 ただし、避けられない警察の追及に陥る状況を捉えなおすと、対策を講じるべきが、やはり収束には必須の通り道といえよう。

 考えるんだ、開発プロセスのように。最後の砦、彼女の存在はひた隠さなくては。もしもの、いざというときまでに。世に行き渡ってくれて構いません、どうぞ世間に、周囲に、広めてくれ、私の製品を心から欲する種族に媒介をして欲しいんだから。もしも、彼女が調べを受ける状況を作り出したとしたら……いいや、ありえない。彼女はまだこちらの側だ。飛行を持ちかけたのだって、彼女。立ち止まって、行き先を旅行者みたいに左右をきょろきょろ。上が飛行船の事実に触れていないのはネットの情報で悟れた、つまり黙っていろ、という解釈が妥当だ。警察にも情報は通じてる。私が不用意に口走る行動を起そうものなら、うん、たぶん今頃は警告を受けているか、この橋に佇んで見える道路や通行人は遮られてることだろう。