コンテナガレージ

コンテナガレージ

仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

拠点が発展2-2

「ええ、かなり暇な部署」種田は過ぎった予感を口にする。「それよりも、内見する物件のリストは揃えている?」

「これから」やはり、無鉄砲な性格に変りはないようだ。双子とはいえ、暮らしてきた環境、言語から生じるアルゴリズムが違えば、その比較は火を見るより明らか。計画性を行動力でカバーする対処法、後悔から短時間で這い出てしまえる。あまり、長期間過ごしたことはないが、基本的な性格がつかめていれば、後付のパーツが本体の覆い隠すその取り繕いを辿れば、内面への到達は可能なのだ。

 コーヒーを飲み干し、如才無く双子の片割れは店員に空容器を預けて種田に出発を促した。

 前を歩く人物は双子の姉、アイラ。日本語表記はカタカナである。フルネームは長く、呼びかける必要性はなかった。一度も声に出さないでいたために、思い出すまでには時間がかかるが、覚えてはいたようだ。種田は、アイラの二歩後ろ、左側を歩いている。行き先は乗車中、彼女にしてはめずらしく端末を開き、不動産会社の物件をピックアップしていた。

 店舗に赴き、着席、こちらの事情を話す時間を省く、有効的な時間を念頭に置いた種田の行動である。彼女は、明日の休暇は求めてはいない、あくまでも今日中にアイラの住まいを決めさせる腹積もりで家族の案内役を買って出た。

 振り返るアイラにS市のシンボルの銅像のようにピンと腕と人差し指を伸ばして方向、行き先、目的地を指し示す。

 地上の混雑と対照的な頭上の開放的な空間の出入り口から駅を出る。赤字の看板は、北口を出て中央に手すりがある幅広の階段を下りた先、角を上手く利用した変則的な店舗に掲げてあった。

「いらっしゃいませ、お部屋をお探しですか」すかさず、両手を前面に添えた店員が出迎える。

「そうなの、一ヶ月だけ借りれる部屋を探しているの、みせてもらえるかしら」アイラは店員へ畏まった態度は微塵もみせないつもり。サービスを受ける側の態度としては、正しい。

「短期のお部屋でしたら、そうですね」店員はわざとらしく、軽く上体を後方へそらせて、驚きを表現、そして非礼を詫びると同時に席に誘導した。「どうぞお座りになってください」

 コの字型のカウンターが入り口正面に、種田たちは左の奥まった背もたれの低い椅子に誘導された。他の店員がお茶を運ぶ、アイラはそれには手をつけない、無償のサービスと捉えていないらしい。店員は平たい端末を手に、対面の席に着く、指先で情報を読み出している。種田は無駄な時間を削除する。

「この物件をこれから見学することは可能でしょうか?」端末の画面を種田は店員に向きを変えた状態で手渡す。