コンテナガレージ

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蒸発米を諦めて3-5

「汎用性はあるのかな?誰でも食べられるのは土曜日のコンセプトだと前に一度話したことがあったね。月曜から金曜は働くお客ためだけれど、土曜はそれらに混じり家族連れ、特殊な客層に取って代わる。おいしさはたしかに二番目が最適だろう、僕も同感だ。しかし、食べる人物の舌にあわせるとなれば、三番目を僕は選択する」

「……わかりました。……あの、副菜、私が作ってもいいですか?」館山は裏を返して気持ちを切り替えたようだ。情動に理解を備え付ければ、行動はより迅速に目的を求める。

「私もそれは、はい、立候補します」小川も副菜の創作を主張する。料理は競争ではないが、相乗効果には違いないか、店長は早めに出勤した二人に一時間の制限時間を設けて副菜の調理を命じた。

 開店前の三十分あたりからお客が並び始める。出窓の釜が何枚も端末に撮影される。フラッシュの光は無断で人の敷地に足を踏み入れる感覚である認識をお客は被写体の立場に成り代わる想像が行えないらしい、ランチの仕込みの最中に視界の隅が閃光するたびに集中を切らされて店長は思った。

「残りのルーが二人分、ギリギリ間に合いそうです」ランチの終盤、鍋のレードルを突っ込む小川がルーをさらに盛り、手元をしゃもじに切り替えて残量を店長と国見に伝えた。ルーは今回初めて、重量を計り、そこから算出される一人分の量を正確に割り出し、お客に提供をするのであった。焼きあがるナンにつきっ切りの館山は、汗だく。ホールは国見が接客、小川がレジと食事の提供、後片付けを行う。

 店長はランチ前に焼き上げたチキンをカツに見立てて、細長くカット、一口サイズにちぎったナンでチキンを掴み、ルーにつけて食べるスタイルを提示したのである。

 お客の入りは盛況で、土曜日は予測された幅広い年代のお客が来店した。お客は一様に、買い物袋、紙袋を手に提げていて、店内の賑わいは平日の雰囲気とは異なる軽い浮遊が見られた。態度が横柄で声が大きく、それぞれのスペースである程度の行いは許される、そうとも取れる態度の人物も多数見られたが、その辺の対処は他店で店長の経験を持つ国見がそつなく、わずかに向けられた他のお客への視線に対応、水を注ぐついでに、先に煩さを詫びていた。

 何度か、店の休憩の看板、クローズが読めない、見えない、読もうともしない、人物が何組が押しかけた休憩時間に、もう一段の盛り上がりが訪れる。

「リルカさん、休憩ですよ」小川が食器を洗いながら、タイムカードに付属した時計を見て、促す。

「店長、夜はどうします?」ライスの残量を気にした発言、館山ははっきり答えをきくまで動かない、そういった重量感を備えた視線を送る。店長は、ぐるりと目を回した。

「そうだな、なくなったら正直にお客へ伝える」賄いに昨日の試作品のカレーにチーズをのせた耐熱性の器をオーブンに入れた店長は、厚手の布巾を調理台に置く。