「けれどステータスが上がったら、白米ばっかり食べたりしません?」
「病院にも通う、薬も飲む、酒もタバコも止められない、運動不足で散歩を始める、どれも食事の摂りすぎが主な要因だって、食事制限をしてでも食べているんだ、病気の一歩手前まで白米を食べ続ければいいのさ」
「ちょっと、リルカさん、無責任な発言ですよ」小川が館山の不用意な発言を注意する、いつもとは反対の立場、構図である。店長は、予測が立ったカレーを離れ、来週のランチメニューに頭を働かせていた。
「館山さん、休憩」国見が厨房に入り、休憩に入る数十分を食器の片付けにその労力を注ぐ。
「他のお店の様子、チラッと見てきます」館山は店長に言った。話の流れから、お米のことを言っているのだろう。しかし、店長はほとんど上の空。右手のスプーンが上下にリズムを取る。
「半径百メール圏内に留めておいて」店長は館山に顔を向ける。「館山さんが疲れては、午後の仕事に影響するから」
「はい」
「ずるい、リルカさんだけ心配されてる」
「日ごろの行いだ」
「神様がいたら、とっくに雷に打たれて、罰が当たってます」
「祈って叶ったら神様が存在していて、はずれてもお咎めは受けない。わかりきったシステムに私は惑わされません。いわゆる戒めでしょう、そういうのって。戒律や決め事、意志を強さを高めるために外部に頼る。私には向いていない、アルバイトの巫女をやってた私が言うんだから、信じなさいよ」
「想像できませんね、リルカさんの白装束」
「白衣だよ」流れるように館山は腰に巻くサロンを解いて、さっとロッカーに消え、後ろで縛った紙を解きつつ、カウンター前を通過、店長に挨拶、店を出て行った。