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抑え方と取られ方1-2

 ランチのメニューは以前に取り入れた組み合わせを再び提供する試作を行った。メニューの誤差に対するお客の反応を確かめる。お客のランチを並んでまで手に入れる期待感が気温や気候、季節によってどのようにずれが生じるのかを見極めたい、というのが今日の狙い。

 これから一週間の期間でデータを取得する。決めたのは、物理学者の講演。最寄りの大学で市民講座を見に行った。休日、たまたま通りかかった散歩に、筆で書く意味が見出せない縦長の用紙に墨の文字、しげしげと見つめる姿は、犬を連れた構内を歩く男性たちに目を引かれたかもしれない。市民への開放と銘打った題字だったため、噛み砕いた内容なのだろうかと、興味が沸いて見学したのである。

 説明は簡素で完結に近づくほどに言葉とリズム選びが難しい。抽象的過ぎても理解に及ばず、かといって専門的な用語は使えない。市民講座である、解説相手は説明に必要な知識を持ちあせていない。もちろん、説明に必要な最低限の用語は教えるかもしれないか。ぶつぶつと口には出さないが頭の中で、方向性を見出し、案内板と教室番号の通り、用意周到な暖房の効き具合、傾斜の机、放射状に並ぶ教室で講義を聴講した。それが、今回の試作のきっかけ。

 運動エネルギーの解釈、これは位置エネルギーに変換されるらしい。その逆もまたしかり。ブランコを思い浮かべる。二本の鎖で吊られた板を一定の高さまで押し上げる、飛び乗ると前後に揺れる。これは、止まっていた触れる前のブランコには見られない現象。変化はブランコ、板の部分の位置が高くなったということである。ブランコは前後に運動をはじめた。通常、高さから物が落ちれば、地面に叩きつけられて、あるいは何度かバウンドを繰り返し、最終的には止まってしまう。垂直に力、重力というエネルギーと高さの位置エネルギーが解放されたのに、どうしてブランコは下に働かないのか。

 講義では、このように述べていた。支点となる鎖の要素を忘れて考えている部分を指摘し、考えに付け加える。さらに板は単一で存在しているのでなく、乗っても落ちないように座れるために鎖とつながる。鎖はこれら二つを支える、公園の地面に突き刺さる支柱によって力が逃げないような関係で構成されていた。なので、地面に落下する上から下へのエネルギー移動は、ここでは使えないとわかる。支点を中心に鎖、それに連動して板が動き、位置エネルギーはブランコに動き与えると言える。しかし、運動エネルギーここでは前後の運動であるが、これらははたしてきちんと変換されているのか、そういった疑問が生じる。