コンテナガレージ

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抑え方と取られ方 2-4

「はい」

「営業時間だったでしょうか?」

「いいえ、帰るところです」

「午前に店を飛び出した人物の身元が判明したので、一応お伝えしようと思い、連絡を入れました」

「それはご丁寧に」

「従業員が狙われた事件とは無関係と私は判断します」

「アリバイがあったのですね」

「はい。駐車禁止の取り締まりに言いがかりをつけるトラブルが起こす様子を防犯カメラが捉え、最寄りの警察の確認も取れてます。また襲撃については、カフェの店員によれば、彼女の座り位置が壁際のテーブルから数えて二つ目であったことが、発見が遅れた要因ではないかと推察されます。彼女の背後の席にお客が座ってからしばらく時間が経過したのちに、お客から店員へ傷の様子が告げられたとの証言でした。仮に窓際の席にお客が座っていたとしても、あえて見知らぬ他人に声をかけるのを躊躇ったということもあるでしょう。とにかく、店内は密室とは到底言えません、犯人に彼女を襲う時間が限られていたための苦し紛れの犯行であるか、見つからない、あるいは見つかっても構わない、そういった捨て身の覚悟を要していたのか、その点も含めて捜査は続けます」

「管轄が違うのに、お願いをして、ご迷惑だったのでは?」

 声が一段低くなる。「私が捜査を引き受ける可能性を見込んだのはあなたです」

「それも、そうですね」

「無意味なやり取りは、あなたとは生まれないと思っていましたが、思い込みでした」

「小麦論者、という団体、グループ、組織はどの程度の勢力と結束ですか?」店主は話題を転換させる。種田がついてこられると予測した話題の石渡り。

「結束という点では、崩壊が近く、より強固な結合もありえます。過渡期が現状の妥当な見方でしょう。ご存知のように米の高騰と連動作用が働く穀物の高騰がその勢力を存在を如実に高めた。水物、流れの一場面ですから、この状態が継続されるのはほとんどありえないでしょう。だが、根底が覆ってしまえば米の寄与率の低下が見込め、小麦にあぶれた浮遊者たちは流れ着くともの予測します。かつての事件とのつながりも見てとれます」

「誰かが操作を?」

「おそらくは。電話ですので、はっきりしたことはいえませんが、疑うには十分な材料かと思われます」

「なるほど。ただ、やはり」店主は従業員たちに背を向ける。「彼女が襲われる理由には思えません」