コンテナガレージ

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お手を拝借、今日はどちらに赴きましょうか?8-1

 シンプルに手を加えたサツマイモの人気は予想をはるかに上回った。当初サツマイモの素揚げを作る予定を、今日の今さっき、変更を加えた。お客さんが食事場所まで戻る時間を想定したら、三十分の時間経過では味が極端に落ちてしまう。油を吸いきってしまし、酸化が早急に進行するだろう、想像が支配した。よって、薄いてんぷら粉を衣につけて、サツマイモのてんぷらはサツマイモまんと共に、サツマイモを生地に練りこむパスタのセットメニューとして形態を変えた。この程度の変更を従業員たちは毎日にさらされる。たぶん、彼女たちにとっては変化率の低い僕の要求と、感じているだろう。

 調理台を覆い隠すステンレスのバット、濡れ布巾をひらりとつまみあげて、六人分の生麺を手に取る、湯せん機に振り返り、麺を投下、タイマーを短めにセット、店主は食べ始める時間に合わせる。

 湯気が上がる。店主の隣では、蒸し器の蓋から蒸かしあがったサツマイモまんが小川安佐の手によって取り出される。あちちっと、やけどを恐れて蓋をゆっくり開けたために、彼女は開店の数分後、やけどに見舞われた。幸い、氷と流水は豊富な厨房である、大事には至らなかった。蓋を開ける動作にためらいが見られるのはそのため。

 ピザ釜の出窓側では館山リルカがサツマイモをひたすら揚げる。彼女はサツマイモ練り込むパスタの生地の補給を兼ねる。揚げるだけの作業と並行して行うので、一見暇そうに映るが、余分に作った生地の消費を計算に入れつつ、生地を寝かせる待機時間も考慮に入れる必要があるため、作業はかなり早い段階にその着手が求められる。よって、お客の列の並び具合を見極める判断力が館山には求められるのだ。