コンテナガレージ

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不躾だった私を、どうか許してくださいませ2-1

 金曜日のディナータイムはいつになく盛況であった。よくよく振り返ると月の終わり、つまり給料日がわんさかお客が押しかけた要因であったらしい。それほど、高額な料理は、いいやまったくといって店で出される料理はリーズナブルな価格設定であるが、なるほど、お客はかなり敷居を高く見積もっているのだろう、店主はうつらうつら考えながら鍋に張り付く。

 温かいかぼちゃのスープが短時間、およそ一時間で底をついたので、早急に小川安佐をスープの作り手に任命、館山リルカはいつもの通りピザ釜に付きっ切りでびっしょり額と首筋に汗を掻いている。ホール係の国見蘭はお客が席で埋まるまでを勝負と決めているようで、てきぱきと案内をこなすと、料理を運ぶときにだけ、すかさず小川を引っ張り出し、手伝わせた。その間、スープの番人は店主が引き受ける。肉類はハンバーグよりもカリカリに焼いた鶏肉が選ばれ、スープは各テーブルの人数分が注文数に設定、有無を言わさずお客は注文したようだ。

 寸胴を覗く。残りはあとわずか、三人前がいいところ。作りたてのスープはもう少々煮込む必要がある。オーダーのストップはできるだけ避けたいが、どうなることやら。ベルが鳴らないので、お客は大部埋まっているだろう。振り返り、シャンデリアが灯るホールを眺める余裕は持てていなかった。