コンテナガレージ

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不躾だった私を、どうか許してくださいませ2-9

 会計を先に済ませる、するとテイクアウトか。

 カウンター席も設けてある、フロア共有の通路側にお客の並び口を作り、調理スペースを島に見立て、店舗内、一人客の席をL字型に壁とカウンターとの両サイドに互いのプライバシーが守られるよう仕切りをつけたんだ。

 取り外せば、二人、あるいは三人との食事が連れ立つ限度に人数を操る。

 入り口の所在が不明確だ、改善点を挙げる。予定場所と記載された図面では店の区画はビルの内部の中ほどの位置を示す。

「店長、聞いてますか?」苛立った館山の呼びかけだった。

「ああ、聞こえてる」

「もう、煙草の灰が落ちますって」

「……」素直に指摘を受けた。

「国見さんの意見は、前と変わらない?」店主は煙を吐き出して訊ねた。

「移転は断固として反対の姿勢、それは揺るがないでしょうけれど、従わざるをえない状況だという認識は、強まりました」

「若干、私寄りですね」小川が快活に言う。真剣な眼差しの館山は、ぎろりと彼女を睨みつける。

「裁判の係争は時間と労力に見合った対処とは言えない」国見は話す。「店長に言われて考えを改めました。飲まれたのではありません、こちらが適切な対処である、そう判断したまでのこと。不動産屋が提示した条件の数値を引き上げる、それとも一つや二つ新たなこちらの条件を受け入れさせてもいいでしょう」

「僕は特に要求しないつもりだ」

「泣き寝入りですよ」今度は国見が牙をむく。

 三方向のからの視線が集まり、届く。