コンテナガレージ

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不躾だった私を、どうか許してくださいませ5-2

「……お中元の箱と言われても私は信用してしまいそう」彼女は目が見えない、手元の箱を探るように白い手が包む。

 金光は慌てて、コーヒーのソーサーごと脇によけた。そして、機密性の高い箱を代わりに開ける。そのとき、手が触れる。

 電気が走った。感触の表現としてはオーソドックス。だけど、正直な感想を言ったまで。そう、僕は正直なのだ。初めて手を取り合った時も、彼女は目が見えていなかった……、うずくまっていたっけ。目にゴミが入った道端の出会い。

「くれる気がないの、それともじらしてるつもり?」金光が覆う手の蓋が邪魔で彼女は箱の中身を取り出せないでいた。

「ああ、ごめん。考え事」

 金光自身は最近の流行、追いかける労力はもう底をついた、と自己分析をしている。楽しいし、日々の生活、仕事の効率化を図る上ではうってつけのディバイスとは体感として、遠目から眺めても生活に取り込んだ利用の姿は情景に浮かびやすく、こうした技術の進歩・切磋琢磨が日本の基盤を支えてきたとは思える。しかし、取り立てて喜ぶほど、または必死で背中を追い続ける影響力は僕をすり抜けるらしい。彼女もそういった部類の人種であることは、長い付き合いで学んでいた。だからこそ惹かれた、付き合うという面倒な行程を踏んだといっても過言ではない。一変した彼女の生活環境がなければ、この最先端のプレゼントを手渡す機会は作り出さない僕だっただろう。

 読み上げる説明書を遮って、彼女は即座に起動を求めた。金光は、少々彼女の態度、切迫した焦りとほのかな期待が篭っているように感じた。気のせいだろうか。高揚した雰囲気に思えた。