コンテナガレージ

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不躾だった私を、どうか許してくださいませ8-2

 入り口付近を避けるこちらの要望を宇木林は受け入れた。彼自身は店の性質上、中に人を呼び込める店を僕に求めたので、利害は一致した。コーヒースタンドのテイクアウトが小径に面するビルの入り口に店を構える。ここは左右不均等に通り道が作られ、左側が販売と製造、スツールのみの客席を配し、右側にコの字型のソファ席を設けた。お客同士の交流を図った様相とはコンセプトが異なり、資料に書かれた注訳では、コーヒーを受け取りに利用する短時間の滞在向けで、歯科医院や病院の受付という位置づけらしい。書きなぐるような筆跡は、テイクアウトの樽前の字と店主は想像する。

 二駅を過ぎる。

 利用者目線でいえば、パン屋のコンセプトも異質な印象を受けた。こちらは、あまりにも斬新なアイディアで商品、サービスを売るらしいのだ。書かれた文字を読むと、大まかに三つの時間帯に販売する商品を分ける。これはもっとも興味のそそる同業者の手法であった。そうそう、店はこの三店舗で工事を進めるとのことだ。物足りない印象は行列を見越した店内が宇木林の想像図なのだろう。

 また、早朝にビルを開けることは当初からの言及していたとおりに、着手まで受け継がれるらしい。早朝から店を開けると暗くシャッターやブラインドの下りた店内をお客見せることになり、マイナスの印象を与えしまう。そのため、天井から床までぴっちり隙間なく下ろす壁を、二階以上の店舗営業と同時刻のオープンする店と隔てる仕組み、との説明及び解釈の確認と実行に対する了承が僕にも舞い込だのは昨日の就寝前。資料には確認の条項がすべてにおいて与えられる。それほどの信頼か、あるいは了承という事実を得ることでのちの対応を有利に進める宇木林の側の狙い、とも思える。きわめて異例な取り組みでしかも短期間の出店、という観点から推測するに、それほど気に掛けるほどではないのかもしれない、まだ返答のサインは保留にしている店主である。