コンテナガレージ

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本日はご来場、誠にありがとうございました5-6

「レシピ?」高い声で頭の上に疑問符を浮かべる小川。

「死体を調理の産物に見立てる。想像は控えて欲しい、鮮明に絵が描くほど気分が悪くなる。出来上がった死体は幾つかの工程を経て、屋上に倒れていた。まず、屋上で死体が見つかった場面を検証してみよう」

「なんだか、料理の講習を受けてるみたい」と、小川。

「静かに」と、館山。

「死体がひとりでに歩いて、梯子を上ることは考えにくい。死体は屋上で人から死体となった、または屋上以外の場所で死体となり、運ばれた、この二つの選択が作られた。片方ずつ追って考えることにしよう。まず死体が屋上で死体と名称を変えた場合、手を下す人物の介入が必要なるね。隣接するビルからコンクリートブロックを投げる可能性は極度に低いだろう、死亡推定時刻の前後は人が大勢いたんだ。すると近距離に立ち、コンクリートブロックで殴ったという説が妥当性を有するね。しかし、致命傷となる傷を一撃で、体を守る保護機能を越えた瞬間的な殺意という行動力は、ブロックによる撲殺とは別の、より簡単でしかも確実性の高い手法に、帰属したはずだ。もし万が一その手法に意味付けが成されたら、建物やそこに入る企業や、行われたレセプションに深く関わるんだ、会社と呼ばれる崇拝の対象に命を捧げる時代は過ぎ去った現在、死はそれらへの反骨、反抗心、侮蔑を表す。つまり、他者が殴った動作の結果に死体が一体誕生したのさ」

「あまり、料理の工程には似ていませんね」国見が言った。