コンテナガレージ

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「そうかな。出来上がりを想像し、そこから手順を後に戻る。目的地を定めずに歩き出しても到達は、……するはずはないよね。ご丁寧に標識が行き先を何気に誘導してくれる優しさや商業目的の誘いは影も足跡すら、皆無だ」首をかしげた、たんにこわばった肩をほぐしたのだ。僕は続きを話す。「出来上がる死体は翌日の朝に発見された、と報告にある。それまで死体は屋上で見つかることを避けたように偶然従業員が仕事上、屋上に上る機会に恵まれ、事態が発覚した。レセプションは光を湛えたらしい、店の入り口、通り沿いの壁がライトアップされた、光の届かない、屋上は明かりが作り出した最も見えにくい影に隠されたのだろうね、夜道が車のヘッドライトで足元が見えにくい作用と同じだと考えて。また、行列のために明かりを点けた、という事実も考慮すると、死体は人目につきにくい状況だった。工程はかろうじて繫がる。そこへ、従業員だ。屋上に用事があったという証言だったけれど、僕が聞いた報告は大まかな内容だったし、警察が隠しているとも思えない、なぜなら彼女たちの捜査権は制限されていたからだ、彼女たちは追及する価値なしと判断をしたのさ、つまり具体的な説明が用事があった、という六文字で表現されるすべてだった。ちなみに、僕は不確かな食材を料理に組み入れるときは、味見をする、食材がもららす影響は未知数だ、もちろんおいしさが求める着地点だ、だけれど組み合わせの妙にも注目しなくてはならない。従業員は真実を語っているだろうか。コンテナの状態は、元々の位置を動かした形跡が見られたらしい、ただ、その指摘に店側は死体を隠す手段を講じたに過ぎなく、決して隠ぺい工作ではない、という主張だった。初めて手にする食材の使用方法は心得て、その食材の良さを打ち消してしまう、ということがあるだろうか。僕は従業員及び店側は死体の存在を証言のかなり前から知り得ていた、と思うね。さあ、それから警察が到着し、死体をコンテナへと運んでしまう。鑑識の捜査が終わったので、動かした、スキャンダルを恐れたそうだ。とても融通の利く警察に思えるのは僕だけだろうか、僕の店に顔を出す刑事たちは要求を頻繁に突きつける。数少ないデータから得られた見解とも思えるけど、一般的に警察が死体よりもその環境の確保に気を配ることはかなり稀である、もっとも大企業の要請ともなれば、警察が要望に応じることは可能性としては現実味が高いだろうね」