コンテナガレージ

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がちがち、バラバラ 5-15

 もう一人の刑事が店に入ったところで、種田はその刑事に伝えるように聴取した内容を反復した。「国見さんが外の様子を見に行き、裏手で死体を見つけた。そして、店に戻り事情を伝え、次に小川さんとあなたが、死体を発見。そしてさらに、小川さんに呼ばれた館山さんが警察に知らせた。その間、警察が到着するまでにあなたは、死体の脈を取った、調理用の手袋をはめて。復唱に間違いあればおっしゃってください、速やかに訂正します」種田は店員を見渡す。反応がないので、彼女は入り口の熊田に視線を送った。ゆっくりと遅れた熊田という刑事は、きしむ段差を越えてホールに立つ。かすかにタバコのにおいが香った。

「国見さん?」眠そうな熊田はショックでうつむく国見に尋ねる。四人掛けのテーブル席に椅子を三つ並べて従業員が座り、店主は隣のテーブルに腰を下ろしている。「あなたは、なぜ裏手に?ざっと見た限りでは、あの場所に用事はなかったように思うのですが、いかがでしょうか?」鼻につくしゃべり方。捉えようによっては、気を使った配慮ともいえる。しかし、優れない表情の国見は涙こそ落ち着いて引っ込んではいたけれど、まだ胸の高鳴り、鼓動は激しく胸が破裂しそうに時折痙攣でばたつく。小川が彼女の背中をさすり介抱する。いつもと真逆の構図。小川は落ち着いたようである。自分よりも動揺する人間を見て比較し自分のポジションを再確認したのだろう、店主は腕を組んで状況を把握する。

 国見の口が開いて閉じる、数回を繰り返し、やっと音声が発せられる。物悲しいピアノがスピーカーから流れていた。「店、店長と二人には秘密にしておき、おきたかったけど、実は私、タバコを吸います。だから、休憩が今日は忘れられていて、そのつい吸いたくなって裏手に回りました。すみません、店長」こちらを見ずに彼女は正面に謝った。

「喫煙を否定した覚えはないよ。君の自由だ」店主は言い切ったそれはあたかも時間は誰にでも平等に流れているとでも言うように、至極当たり前の考えとして平静と告げた。

「タバコを吸いに裏手に回ると少女が寝ていた、体には触れていないですか?」熊田は言う。

「最初は人形かと思って近づいたら人だってわかったので、動いたんです」

「動いた?」眠たげな熊田の両目がパッチリ開示。「間違いないですか、見間違えではないのですか?」

「いいえ、はっきりと瞬きをしましたから。それで怖くて足がすくんしまって、店に戻るのが遅れたんです」

「十分ぐらいだとは思います」はきはきと館山が証言する。正確に測ってはいないが、おそらくはその程度だろう、店主の見解と一致する。

「驚いたのであれば、少女の生存を認めるが一般的な感覚。ですが、あなたは、足がすくんだとおっしゃる。触ってもいない。助けようとはならなかった」熊田は追及、背後で手を組み、きしむホールを行ったりきたり。