コンテナガレージ

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エピローグ1-5

 施設が完成、開業の暁には、人が押し寄せるだろうとアイラは予測を立てていた。数年は続く。だか、現状の把握は常に客観的な目を持ちつつ、事業を行うようにと、助言はしたつもり。どこまで忘れられずに息が続くのか、それも、もう彼女は興味の対処を外れている。

 言葉は覚えているものだ、我ながらすらすら口をついた久しぶりの日本語。気分は落ち着いたように思えた。日本の言語がそういった感覚に作用したのかもしれない、アイラは窓に映る口元で日本語を話した。

「お姉さん、寝ないの?」隣の少女が重たい瞼をこすって語りかける。

「眠るわ、もう少ししたら。うるさかった?」

「ううん。お尻が痛くて起きたの」

「そう」

「お姉さん、お話できるんだ」

「ええ、できるわ」

「さっき、練習してたもんね」

「見ていたの?」

「たまたま」

「あなたは、どこへ行くの?」

アメリカ。お姉さんは?」

「途中で飛び降りなければ、アメリカね」

「お仕事?」

「ええ、あなたは?」

「引越し。パパのお仕事についていくの」

「そう」

「お仕事は楽しい?」

「そうね、私が選んだ仕事だから」

アメリカってどんな所?」

「明日にはわかるわ」

「面白い所って言わないんだ、どうして?みんな楽しくてわくわくするって言うんだよ」

「だって、あなたはまだアメリカに行っていない」

「私が決めていいの?」

「あなたは誰?」

「私。あなたは誰?」

「私」

 少女はにんまりUの字に口を変形させて、毛布に包まった。

 アイラは窓を閉めた。

 瞼の裏のもう一つの闇を作って、機能を遮断。

 再起動だけの記憶を残し、これまでをリセット。

 久しぶりに心から休めそうな気がした。

 

おわり