コンテナガレージ

サブスク・日常・小説の情報を発信

パート1-5

 外はすでに日が落ちて、ものの数分で闇が支配する時刻だ。黄色のバスにエンジンがかかり、のっそりと学校の敷地を優雅に周囲を威嚇するように走り出した。バスの停車時には他の車は停止する規則があって、僕の捉え方もまんざら嘘でもないのだ。バスの赤いランプがついているとき、つまり止まって生徒を降ろしているときは、後続車も止まらなければならない、というルールが設けられてる。まあ、律儀に守る人もいれば、その守っている車にさらに後ろからクラクションを鳴らし早く走り出せとせっつくドライバーもなかに入るようだった。だた、バスの停車時でも反対車線を走る車は中央分離帯があるとか、黄色の二重線が引かれているとかであれば、通行は可能らしい。僕はバスに乗った経験がないので、そのあたりの事情には疎い。しかし、あえて調べもしない。車が運転できる年齢になるまでは、知るべきことではないように思うからだ。

 うつらうつら、渋滞にはまり適度に揺れ動く振動に眠気が襲う。席はいつも左側の後部座席、助手席に座らない。

「体の調子は?不調は感じていない?」

「大丈夫。目の周りが痒いぐらい」

「ごめんな、辛い思いをさせて」父の声が低く、弱まる。

「それは何度も話した。言わないって約束じゃなかったっけ?」

「そうだよな。うん。わるい、思い出したか?」

「何も感じないぐらい思い出せるし、思い出しても恐怖は感じないよ。まあ、口で言っても信じれもらえないかもね」

「母さんも心配してる、自分のせいだってね」

 先行車の赤いブレーキランプが点灯したまま消えない。クリスマスにサンタ・トナカイ・ツリー・雪だるまをモチーフにした商品のほか、それらにパッケージを変更した変哲もない物も十二月では売れてしまう。

 赤いランプはツリーや家を華やかに彩るイルミネーションに、僕には見えていた。