コンテナガレージ

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不躾だった私を、どうか許してくださいませ7-5

 私は用済みなのだろうか。何のために生きてきたのか、不意に考えが襲った。まだまだ動けるはずだ、頭もクリアだし、体だって負荷を掛けられる。

 雇われるだけがすべての世界とは思っていない。これからは、一人で一から何もかもを作り上げてみようか。

 時間は足りるだろうか、その前に予想を立てなくては。時間は、そう、最も限られてる。

 決まったのか、こんなにあっさり次の予定が?

 つい数秒前に取り込まれそうになった不安はどこへ消えたんだ?

 私は立ち上がる、几帳面に寝袋をたたんだ、丸めて空気を抜く。太ももに当てて、ぎゅぎゅっと最後まで圧縮。紐を巻いてコンパクトな筒を作り上げた。

 広げる、折りたたみ、二つの動作を商品に活かせないだろうか。

 やっぱり、心配事は二の次に転化してしまう。それが開発者というもの、宿命、主体はそもそもわたしではないのだ。

 しかし、彼女とは表面上私の所属と彼女の所属との会社間の契約を結んでいたはずだ、現実に戻り、僕は格納庫にジープを走らせる。ぬかるんだ路面はすがるようにタイヤに纏いつき、動きを鈍らせる、まるで前進を阻む意志が宿ったみたい。台風の影響と、警察の調べもあって、天候不良による受付の停止を自社のサイトに提示していたんだ。

 埃っぽい格納庫内が澄んだ空気に満ちている、寒さを感じるわけだ。まるで長年仕事に携った人物が吐く言葉、まだまだキャリアで言えば、新人の部類。

 会社に連絡を入れることも彼女の監視の対象に引っかかるだろう、第四の勢力、上が狙う世界的な組織と地位、僕を介した彼女側の要求を受けれ借りをつくり、足がかり、ひいては踏み台にまでと考えていたが、裏目に出てしまった。トカゲの尻尾切りがこれから始まる。先端が切られるか否か。やるべきことはこなしてきたつもりだ、今のところ悔いはない、と思う。パイプ椅子に腰掛け、機体を眺める。

 操縦者に浮き上がるガスが機体の浮上に欠かせない。

 僕は開発を常とした人生を現在まで追いかける、周囲は振り返ってばかり、それに比べてばかりだ。だから皆、列に並ぶ、足並みをそろえる、服装を真似て、トレンドや見せられた現在を追いかける。

 私は先を見据えたかった。未踏の地を一番に踏み締めたい、衝動は加速を帯びたんだ。