コンテナガレージ

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ご観覧をありがとう。忘れ物をなさいませんよう、今一度座席をお確かめになって6-1

 ブルー・ウィステリアの店舗に行き着く。鈴木は時折店主の横顔を覗き見たが、声を掛けづらくそうに、無言を貫いた。うす曇、粒の大きい粒子を弾いた光、それが雲の代名詞である白、黒い色はそれではすべての色が混ざった白を越える色の集合なのだろうか、店主は何気に視界に入る空を見ていた。

「どうかしました?」店の入り口で立ち止まる鈴木に呼ばれる。彼に続き、中へ入った。いつの間にか行列はぱったりと姿を消していて、自然災害を予期する動物たちの行動みたいだった。そう、動物に災害を予知する能力があるか否か、調査は過去についても、おそらく現在も行われているとは思うが、大抵屋外に生きているものならば、その機能は必然といえる。大量につまり、人が気付く程度の移動なり動きや異状と捉える行動をたまたま観測したのであって、細かな彼ら動物たちの行動の変化は間違いなく行われているだろう。自然界で生き延び、生命を後世に繋いだ種族たちだ。曲がりなりにも、無意識下に差異をはかる機能は付帯しているはずだ、何を考えているのか、店主は自動ドアが閉めて、次の一歩を踏み出さずに、ふと置かれた状況を思い出した。

 鈴木は手際良く、店員の一人、ラフな服装の人物に事情を説明した、後ろ盾が有無によって人の行動は大胆さと横柄さを兼ね備える、彼が不躾であるといっているのではない、むしろ礼儀の範囲内で仕事を全うしてはいるが、支えられている、その幻想は動作の端々でピキリと鮮明に顔を覗かせる、痛々しいほどのちに振り返った際に頭を抱える若気の至りとはいえないものの、しかし無意識で正当性を帯びているがゆえに、針はちりばめられたダイヤモンドに隠れて先が鋭利に、跳ね返す光に見惚れる間、相手を何度も突き刺していた。彼は店内及び現場である屋上を再点検を求めた。