コンテナガレージ

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本日はご来場、誠にありがとうございました3-1

「質問を変えます。あの女の発言を紙にまとめた内容が一部不可解に思えて、理解に及びません」

「それを私に応えろと?」店主はいう。

「先ほどの質問は回答を拒否されたので」

「日常会話でも相手のプライバシーや当人が気に留める内容に触れた場合、黙秘を貫く権利は社会に残される、わずかならが信じてましたけれど、もう個人の領域は取れ払われたのですか?世知辛い世の中ですね」僕は二人を見た、そして煙草の灰を灰皿に落とす。

「市民は……」種田の発言を店主は奪った。

「市民は、警察に協力体制を惜しまない、それが日本国民の使命である」店主は肩を竦めてみせた。

「理解しているのならば、質問の回答をお聞かせ願いたい」

「コーヒー代をテーブルにおきます」僕は普段は鞄を探り、財布から小銭をつまみ出し、一瞬動きを止めた、片掌を握りしめる。「金額は税込みだったかな?」呟いてメニューを確かめるが、その前に種田がすかさず、「含まれてます」と教授した。頻繁に時間をつぶす作業はお手のものということか、経験の差である。

「もう、お帰りですか?まだ、荷物は届いてませんよ」鈴木が申告、彼曰く配送車はここから見える位置、東西に走る道路に沿って止まるらしい、宇木林から聞いたそうだ。既知だとはあえて隠した。

「アイスコーヒーの作り方」種田は数十センチ前方に飲み込んだ飴玉を吐き出すみたいに低空で勢いよく、僕に伝えた。「あの女は解説の最後をアイスコーヒーの作り方でしめた。何を意味しますか?」