コンテナガレージ

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本日はご来場、誠にありがとうございました5-1

 調理器具の到着、その連絡の二十二分後に四杯分の料金を支払い、店主は仕事に戻った。ちょうどテイクアウトの樽前に搬入器具の説明が終わった場面に飛び込み、それから三十分ほど宇木林に設置器具のメーカー、ヘルメットを被る内装業者と細かな不具合と使い勝手等、調理に関わる諸事項を打ち合わせた。電気式のピザ釜で作るピザの味はまったく懸念材料には上がらない、むしろ宇木林や調理器具メーカー側が気にかけたぐらいだ、彼らはうちの店の売りをピザと認識してるらしい、貴重なデータである。懸念は従業員からも聞こえた。しかし、使用器具の良し悪しを口にすれば、それこそ世間はいたるところで不満が蔓延している。常連客に見放されるかもしれない、確かに見限られる数十人は覚悟の上だった。ただ、使用器具から味を予測する人を篩いにかける絶好に機会でもあるのだ。オーガニックの材料に凝ってはいない。それがどの程度安全で、通常の農薬の残有量と異なるのか、正確な数値、そこから生じる体の不具合と影響を僕はあっさりと捨て去った。目を引く材料にはなりえた、ただ大勢が手を出すと、一般に舗装される。後は、ずんずん快適に車に乗ったまま、ドライブスルーで買いに来るお客が列を作るのだ。どこで何のためにどのような経緯と信念で、ただおいしいだけでは満足できないらしい。だったら、いっそのこと、ありのままのおいしいを追求するべきではないのか、行き着いた対象である。

 一階フロアは結局、三店舗で運営に踏み切るという。宇木林のプランである。当初は、五店舗ほどを予定していたが、三店舗の広さは変えず、長方形の短辺にパン屋を、これは仲通りに面する。四杯の料金を支払った喫茶店と対峙する横の通りに面してコーヒースタンド<テイクアウト>を置き、店主の店はテイクアウトと店内で向き合う縦長のスペースという体型に決まった。導線はT字に互いの店舗と共用しつつ、列の干渉を考え、店舗が少なくなった分をお客の並ぶ通路に変えたのだった。