コンテナガレージ

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 十一月の中旬にピザ釜が目立つ洋食店の耐震性は法律の基準を満たしたばかりに、早々と再度の移転が店主を含む従業員たちにのしかかりるも、平穏といえる古びた外観の飲食店の反響に押しも押され、移転前の客数を越えてしまった。新装開店をわずか一ヶ月弱で離脱してしまった宇木林が監修した新装ビル一階の飲食店、ワンハーフポイントの後続では、料理教室が現在では開講されている。ほんのたまに、という約束で店主は休憩時間の数十分を料理の講師役を頼まれていたが、未だに足を運んだ試しはなかった。

 風の噂、お客の会話、お客が置き忘れる新聞、街中の大画面等が事件の続報が自然と耳に、するりと店主の遮断を潜り抜けて、届いた。

 ブルー・ウィステリアの屋上の死体は、通信機器販売会社・レッドリー駅前通り支店長と公表した。ひっそり、情報は市民たちに公開されるも、数週間遅れの身元発表に疑いを持つ勇気のある人物は表層に現れなかったらしく、その後に世間をにぎわす集団卒倒の要因である新製品の腕時計型の端末の不具合によって、健康を害した利用者への全額保障に世間の関心が移された、ごまかされた、といえる。飛田が告白に踏み切った理由に彼は警察上層部との直接交渉に応じたのではないのか、後日お客として食事を摂った種田と鈴木が話していた。僕は無論、詳細を尋ねてはいない、彼女たちの意思で厨房に聞こえるほどの音量で喋ったのだ。夜間飛行も許可申請は降りていた、それに飛行船の整備も万全であったという。彼はマスコミへのリークを餌に自らの要求を通した、これが妥当な予測だ、そう限りなく僕とは交わらない彼なりの動機であった。

 角を曲がって飛び込む景色の変化を利用して、思考を切り替えた。