コンテナガレージ

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私は猫に石を投げるでしょう2-4

「ごめん。だよな。じゃあ、この埋め合わせはするから、リクエストを考えておいて」旦那の声はやけにはしゃいでる。

「いいことでもあった?」

「まあ、おいおい話すよ」

「わかった。じゃあ、私が代わりに行くから」

「うん、頼むよ」

「ご飯はどうする?」

「わからない。食べられるかどうか、帰っても時間は遅いだろうし、買って帰るか、ラーメンでも食べるよ」

「体に悪いよ。私が言えた台詞じゃないけど」私は仕事と娘に感けて、家事は娘に特化した仕様が精一杯だった。旦那の栄養状態や体調管理、今日の表情をまったく把握していないのだ。かろうじて子どもにだけは、私の体力を削って振り分けている。

「作っていたら、食べるでしょう。温めるだけの料理を作っておくよ」

「ああ」

「じゃあね、あんまり無理したらだめだよ」

「ああ」

 エレベーターで一階に下りた。私は食堂でメニューを選びながら、選択に戸惑った。そういえば、冷蔵庫の中身はほとんど覚えていない、と冷蔵庫の中身を思い出す。先週はしなびたレタスと変色したキャベツ、粘性の液体がおびた玉ね、冷凍庫からは冷凍焼けの豚バラ肉が発掘された。娘に休日にオムライスを作る予定が、鶏肉が見つからず、たまねぎも断念、結局、ジャガイモをスライスしてポテトチップスを作った。ただ、それだけは娘が満足するはずもなく、午後は買い物をかねて、二人で外食に出かけたのだった。今日こそはと、私が意気込んでもアプローチを変えなくては結果は眼に見えてる。無駄な材料を買って、また腐らせてはもったいない。

 ふと、頭に浮かんだ。食材の購入日に手帳に明記することにしよう。大よその消費期限を予定日に書き込んでおくのだ。そうすれば、献立を元に材料を買いに行かなくても、使うべき材料が決まっていると作りやすくはなるのだろう。我ながら良いアイディアではないのか、今日の私はどうかしているのかも。