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店長はアイス  死体は痛い?2-3

「自殺の線を捨てていない、そう捉えてよろしいのですか?」女性にしては種田の声は低い。彼女がきく。

「受け取るのは自由だ。こっちに権限はないよ」熊田は肩をすくめ、首を僅かに傾げた。

「早急に判断を」

「種田、ちょっと落ち着けって」また種田の例の視線が鈴木に返還される。

「捜査を」種田は椅子ごと体の向きを変え、隣の熊田と正対する。

「むうーん」熊田の口が尖る。「仕方ないか。気が進まないが、それじゃあ、大嶋八郎の勤務先と自宅には鈴木と相田、私と種田は紀藤香澄の勤務先を調べるか」

「僕が大嶋八郎の周辺を調べた方が、効率的です」鈴木は抑えきれない笑みを含んだ顔で言う。本人は真面目に言っているらしい。

「話す人物が変われば聴取される側の表現も異なる。同じ人物ならば、対応も雑になる。欲しいのは気を許した本音ではない、初対面に感じ取れる違和感だ」

「しかし、ですね、熊田さん。もう一度考え直してくださいよ、だって第一発見者の小学生とですね、僕は……」鈴木の襟が引っ張られ、軽々と持ち上がる。相田が荷物でも引きずるように鈴木を強引に連れ出した。「何するんです、まだ話が終わっていませ、くっくるしい、首が絞まるぅぅぅ」

「せわしない奴らだ」捜査に出かける二人を見送る。熊田は席を立って、上着に袖を通す。種田の浮かない瞳が見ていた。「不満か?」

「いえ、捜査を進言したのは私です。……、ただ」

「ただ、なんだ?」熊田は襟を正す。

「事件にしては曖昧です」