コンテナガレージ

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焼きそばの日10-1

 六月第二週。十三日の金曜日。午前八時に保健所の検査をパス。監査時間の事前通知は、監査といえるのか、口に出しそうな音声を店長はつぐむ。

 午前十時に開店。会場が開く時間と同時刻。軽装の観客が我先に目的の会場、ライブステージに駆け出していく。お客は十時半頃から飲食店に列を作り始めた。飲み物の購入にすぐさま人が並ぶ。

 そして、午前十一時にようやく店長の店にお客が並び始めた。列を成す。特性の看板に二品のメニュー。お客に順番が回る間にどちらかに決めてもらう。

 十二時。最寄りの会場でどよめきが起こる、海外の歌手が登場したようだ。お客は広げたライナップのパンフレットを指差す。聞きなれない外国名が口々に、それは友人でも呼ぶかのように氏名よりも固有名詞の羅列に聞こえた。

 午後一時。お客の列が二列に増える、island nation in the far eastを取り仕切る飲食の担当者・川上健二が列の調整をかねて店先へ姿を見せた。軽く店内に声がかかるが店長はねぎらいの言葉を軽く受け流して、目先の対応を優先した。

 午後一時半、通路中央に設けた大型のパラソルが突風に煽られて上空に舞う。運良く、会場を抜けた先、一般客の駐車場を越えた会場の更地に落下したらしい。未確認飛行物体を眺めるみたいなお客の首の角度である。

 午後二時。パンに挟むアイスの不足が予見された。残りを確認する。現在の売れ行きでは間違いなく完売の流れ。この時点で二回目の販売に備えたパンの発注をブーランルージュにかける。両方を一度、完売にさせ、販売を切るのだ。国見がバンのピックアップに三十分前に店を出ている。それからは会計の担当が小川安佐に代わっている。

 会計の国見の要求でレジの使用を見送っていた。金庫を一つ用意し、お客がもっとも手渡す、お金の組み合わせから、差し引いたお釣り、硬貨の種類をあらかじめ予測にあげた。お客は現時刻まで、ほぼ列に並んだ人数+一品で、大勢の品を一人が買い込む様子は見られない状態だった。大人数ではどうやら各自用意したキャンプ道具でバーベキューなどの個人的に食事を作るのだそうだ、川上が二度目の訪問で聞いてもいないのに自慢げに話していた。

 午後二時を越えると、日差しの照りつけが強く、温度が急激に上昇。一番のアイスパンの見せ場、稼ぎ時にも関わらず、ブーランルージュの到着はそれから三十分後であった。小川と館山が関係者が止める駐車場からクーラーボックスを運ぶ。それを二往復。待っていたお客が一人だけ、店の前にだるそうに頭にタオルを当てて今か今かと販売の時を心待ち。ライブ、歌を音を振動を歓声と熱気と盛り上がりと非日常を楽しむためにチケットを取ったのではないのか。