「これを読んで店長はあの刑事さんたちに助言をしなかったんですか?」店主の回想が終わると、堰を切った小川が溜め込み思いついた考えをぶつけた。女性に関する内容に感化されたのかもしれない。しかし、店主は彼女の勢いを向いいれる態度と正反対に、疲労に似た気だるさを全面に押し出して応えた。
「僕は犯人を知っている、とは一言も言っていないよ。事件について意見を聞かれたので、感じたことを喋った」
「ですけど、犯人の検討はついますって顔でしたよ。どこの辺りで気がついたんですか?追加の事実からですか?できれば私に思考のプロセスを教えてください」
「光だよ」店主は三人を視界に収めるため数度首を振った、極めて指向性の狭い扇風機。「僕の端末は青く光った、端末の初期設定の色がこの配色であるらしい、デフォルトの設定そのままだから、僕の端末も君たちが見たように、青だったね。飛行船のパイロットが停電時にブルーの光を目撃した、といっている」
「パフォーマンスで販売前に店の人がつけてたんでしょう?」
「うん、そうかもしれない」
「私って見当違いなこと、きいてます?」いなされた、という印象を小川は感じ取ったらしい。不安定げな鼻から上のパーツ。店主は言う。
「光はどこから、だれによって、という問いを僕は指摘したのではないよ」
「店長、ずばり、言ってください。もう、うずうずして我慢の限界です」