コンテナガレージ

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店長はアイス  死体は痛い?2-4

「曖昧?まあ、そういえるか」

 中腰の種田が言う、片手はデスクに。「殺しなら、堂々と手法の披露に心血を注ぎ、犯行に及ぶでしょう」

「突発的だったのかも。あるいは、短絡的な性格で考えること自体が億劫だった」

「二件ともですか?」

「メディアに取り上げられても警察は自分を捕まえにこない。味を占めたら、二回目が欲しい」

「別の人間がそれぞれ殺意を抱いたとは?」

「たまたま、殺害方法も似てしまったといいたいのか?」

「殺害したい人物をどのように殺そうか、日々考えていた。事件のニュースが飛び込み、模倣を決断、殺害を試みた。お手本が必要だったのです」

「短絡的過ぎやしないか?」

「殺すことが目的ならば、既に犯行に及んでいたでしょう。模倣は後押しです。殺害の手法が一致すれば、犯行は一件目と関連を持ち、二件目は強く連続殺人を想像します。そうすると、先ほどの言われたように警察は多数の見方を余儀なくされます。そこには犯行から解決までのタイムラグを長くさせる。つまりは、その時間経過と行動を観察しているのです」

「例の組織か……」

「警察の動きが予測それも自分たちが送り出した犯罪によるデータはこの上ない極上の収穫です」

「壮大だな」

「ええ、そうですね」

「言った割には関心がなさそうに見えるが」

「はい、興味は引かれません」

 会話がそこでピリオド、二人は鈴木たちに遅れること五分、O署を後にした。

 二人は学校の職員室の一角、応接セットの革張りのソファに案内され、教師の登場を待つ。校長が遅れて顔を見せた。警察に気を使う意味を熊田は見出せない。その校長も数分後に席を外した。場をつなぐために、半分に減った麦茶が追加で注がれる。年配の女性である、この女性も教師だろうか。受け持ちのクラスがないのだろうか、疑問が浮かぶ。現在のクラスは担任と副担任の二名で一クラスをまとめるらしいのだ、校長が聞きもしないのに私たちに教えてくれた。小学校の近況をなぜ校長が伝えたがったのかは、定かではない。話の流れが、少子化に及び、話題が生徒数と一クラスの人数、担任と行き着いた。ただ、熊田は相槌を打ち続けた。あまりにも早口でそれでいて、話しがあちらこちらに飛んでしまう校長との適切な距離の取り方を構築したまでである。校長も響かない警察に居辛さを感じ用事を思い出す芝居を打った、見ようによってはこの解釈が妥当かもしれない。熊田は外を眺めた。低い座面のために熊田、それに種田の体にはとても長時間の着席には不向きなソファである。種田は目を閉じていた。