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店長はアイス 幸福の克服2-8

「熊田さんがファンキーすぎる」鈴木が言う。

「さて、ここでもひとつ課題が持ち上がりました。そう、大嶋八郎は殺害を手伝った、あるいは殺した人物です。動機の面から紀藤香澄を殺す大嶋八郎は妥当です。しかしその次はどうも繋がりません。彼の近辺で彼を殺しそうな人物はいないこともないですが、これは紀藤香澄と大嶋八郎の二人を知っていなくてなりません。彼の会社のデスクに仕舞ってあったこちらで購入された商品が二人のつながり。商品の存在を会社の同僚が知っていたとしても、大嶋八郎が紀藤香澄を殺す意思を感じ取れていたでしょうか。彼女に行為を抱いていたとは、察知できるが、それ以上の常軌を逸した感覚までは、どうかと思うのです。つまり、紀藤香澄に好意的な大嶋八郎の存在が最上段でそれから派生して大嶋八郎が彼女を殺したらと犯人は考えついた。紀藤香澄が殺されることが大前提。二人が死ぬことで本来の殺害動機や可能性

が分散され、疑いが薄まる。本命は大嶋ではなくて大嶋に殺される紀藤香澄です」

「私がやったと、言いたいのでしょうね」

「あなたではありませんよ。手を下したのは、二人です」

「ばかばかしい」

「その通り、林道さんはもうこの世にはいない」

「急展開だ」鈴木が漏らす。

「何を言って、死んでるって?店で働いてる、あんたも見ただろう。何なら今から確かめるか?刑事さん」

「大嶋八郎氏のベンチには同じく逆さまに印字された本が落ちていた。これは大嶋氏が置いたものかそれとも犯人があえて置いたものか、どう思われます?」

「耳がおかしくなったのか?」股代は明らかな憤り、怒り、それに焦りを見せている。熊田は容赦なく、躊躇なく続ける。