コンテナガレージ

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ゆるゆる、ホロホロ4-3

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 打って変わり、翌日の業務は事件の影響を感じさせない盛況ぶり。テイクアウトの列は、裏手に繋がる隙間にお客を誘導することで道路の占領に解決策を見出した。事件現場を示す黄色のテープは撤去されている。目標値、売り上げ個数を若干の増加にもお客は風のように奪い取り完売した。お客が並ぶ時間は開店のさらに、より前へ前へと移行、それらに伴い販売個数の更なる増加が従業員たちから求められたが、大幅な個数の増減の短期的なふり幅を持たせない意思を示し、その意味を伝え納得してもらう。従業員にはただ、店の業務を任せる事を仕事と捉えて欲しくない。ランチの前菜を今日は館山リルカの料理を提供した。彼女はとても喜んで、珍しい態度、ガッツポーズを決めたりしていた。方や、彼女にライバル心を燃やす小川安芸は文句を言わずにもくもくと指示された作業に従事する。いつもならば、すぐさま店主の傍まで近づいた問いかけがぶつけられるが、おとなしく終始態度は安定的に見えた。エネルギーが不足しているのかもしれない。そういった雑多な事柄に意識が逸れるのはここ数日では特に顕著な傾向といえるだろうか。くしくも人が亡くなる事件が多発していたが、犯人はどうやら捕まったらしく、張り詰めた緊張感をばら撒いていた私服の警察官の姿もすっかり通りからは消え、歩道脇の献花も昨晩の強風で飛ばされていた。重たいジュース缶は誰のために置かれているだろうか、やはり置いていった人の内情の荒廃を食い止めるために置かれたに過ぎない。もう一度想起、あの缶を置いた人物は回収に来ないだろう。
 ディナー、最後のカップルがにこやかにレジを通過していく。ご馳走様、おいしかったというセリフが厨房にも聞こえた。看板を小川が下げに表に出ると、お客を三人連れて彼女が店主に尋ねた。
「店長、お客さんがええっと皆さん、一緒ですか?」
「違うわ」先頭の女性が後方をちらりと見やってそっけなく応えた。後ろの二人もたがい見やり、首をいやいやするように左右に動かす。食材はまだいくら残りが脳内には浮かんでいた、冷蔵庫を透過しておぼろげな記憶をさらう。
「メニューによってはお出しできないものがありまけど、それでよろしければ」お客はうなずく。