コンテナガレージ

サブスク・日常・小説の情報を発信

店長はアイス  死体は痛い?9-2

「俺たちが殺されるとする……」

「縁起でもないこと、やめてくださいよ」言いかけた相田を、本気で鈴木が否定した。

「例えばの話だ、死に直面した熊田さんたちや上層部は捜査を継続するか、打ち切るか、の選択を迫られる。当然熊田さんは続けるだろう。しかし、上層部の傾向では継続捜査は行わない、つまり中止の判断に傾きかねない。事件はお蔵入り。犯人は捕まらない。そういう筋書きで動いているかもな」

 車は信号で停車。しかし、すぐに色が切り替わる。現在車は電車の高架に沿って走行。大型の店舗と都会らしい高層マンションの姿が見えなくなると、途端に視界は開けて、信号の数も減少、明らかに郊外に。景色がそれを物語る。以前にこのあたりでカーチェイスを熊田たちが繰り広げたカーチェイスを鈴木は思い出す。

「この先は確か、行き止まりですよ」

「知ってるよ。その前に曲がる」

「相田さん?」

「なんだ?」

「小島京子が犯人なんですかね?」

「どうしてだ?彼女への聞き込みの後に襲われたからか?」

「いえ、そうじゃなくって。その、なんていうか、うまくいえないんですけどね。僕たちは押しかけて彼女を訪問しました。彼女もあらかじめ訪問を知っていたとは思えないんです」

「演技かもしれない」

「ですけど、それでも大掛かりに銃撃を遂行できる態勢でありながら、僕たちの動向を把握していないなんておかしいじゃないですか。僕たちも所在がわからなければ、無理に探そうとはしなかった。そうですよね?」

「まあ、行く先は聞いて回っただろうか、今日会えなくてとは、思っていた」

「そうでしょう。僕たちの接触が相手の地雷を踏んだのなら、ただの面会だけで僕たちを消そうとしますか?何か相手の不意をついた発言を僕たち言ったんじゃないですかね」

「……」相田はかるく指先で頬を掻く。「大嶋八郎のプライベートを聞いただけだ。特段いつもの聞き込みと段取りは一緒だろう?」

「そこなんですよ。相田さんが主導権を握って話してたんですよ。しっかり思い出してもらわないと」