コンテナガレージ

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店長はアイス  死体は痛い?3-1

 art departmentは瀟洒な住宅地に店舗を構える。新緑の季節から青々とした深い色合いに街路樹が表情を夏仕様へと変えていた。鈴木の車は通りの反対側に止められた。駐車が認められた区域である、相田が長時間のドライブで凝り固まった手足を際限なく伸ばしている。鈴木はその間に、料金を払い、駐車表をフロントガラスから見える位置、ハンドルの前辺りに滑らせた。あくびが出る。快適な気候は、適度な眠りを誘うらしい。鈴木と相田は車の往来を避けて、道路を渡った。店は開店からまもなく一時間といったところ。

 店内は広く、ゆったりとしたスペースが商品の見やすさを物語る。店内の空気は冷涼では肌寒さを感じた。くしゃみが出る。前を歩く相田に睨まれつつも、店員を探す。棚の引き出しを開けて在庫の商品を取り出す、店員が視界の低い位置で見つかる。

「あのすいません、こちらの店長さんはいますでしょうか?」

 女性は立ち上がって答える。「はい、あのう、失礼ですけど、どちら様でしょうか?」

「ああ、申し送れました。警察のものです」

「……はあ、警察。少々お待ちください」一拍間が空いて、女性は頷き、どこかに消えた。

「驚いていましたね。熊田さんたちが来た事を知らないんでしょうか?」鈴木はきいた。

「さあ、なあ。しかし、ここの店員が死んだんだ、いまさら驚きも何もないだろう」相田が言う。

「それもそうですね」

 すぐに、エプロン姿の人物が登場した。弱弱しさよりも自信を見せ付けるような態度、鈴木の印象である。

「お待たせしました。股代と申します」

「O署の鈴木です」

「相田です」自己紹介が簡易に行われた。

「先日に来た、刑事さんに事情はお話しましたが」股代が会話の口火を切った。こうして話の主導権を握ろうとする人物は、目立ちたいか、緊張による過度な積極性か、または嘘を隠すためだ。あくまでも鈴木の持論である。