コンテナガレージ

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仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

がちがち、バラバラ 6-2

 だんだんと着せられていった。それを私は甘んじて受け入れ、私を殺した。あの少女はたぶん許された。赴くままに自我を押し通した。目立ちすぎたから標的にされたのでは。一瞬、「自業自得」、内なる声が奥底から届いた。流行の服を着ていた彼女は見せたい衝動に駆られて、奇抜さがさらに度を越えた。着ている時は見ることなんてできないのに。
 停車駅で人が乗り込む。朝は大抵この駅が混雑のピーク。次の駅は中心部。隣の少女は端末をかばんについた専用のポケットにしまった。制服は私のように服に無頓着な人間に適した制度だ。独立前に勤めていた店では白いシャツに黒のパンツ制服が支給された。その名残で今でも白いシャツはよく着ている。昨日も着ていた。
 駅に到着、改札を抜ける。少女は乗り換えるらしく、改札を横切った。小さな背中にバイバイと無声で挨拶。地下街の店舗はやっとちらほらシャッターが開きはじめた。宝くじ売り場を曲がり、傾斜のきつい階段を上る。上から人が降りてきた。体を端に寄せてやり過ごし。どこかで見た顔だ。足を止めて降り返る、私の直後に人が歩いて、怪訝な顔をされた。その人を先に上らせ、下を見るが、見覚えのある人の姿はなく、ドアが余韻に浸るように静かに持ち場に戻っていた。誰だったか思い出せない……、喉まで出掛かっているのに。
 高すぎる空は高層ビルの隙間からこれでもかとうぐらい青い。晴天。雲ひとつない。いつもなら真っ先に店に向かう足がスクランブル交差点に向いて渡りきる人々の行く末を一回、見守った。大きく胸を膨らませる仕儀は深呼吸で気持ちを切り替えて店にようやく向かった。切り替えるならばつねにスイッチを切らなければいいのだ。わかってる。それが最も疲れずに仕事をこなせる方法。
 店に入ると、もう従業員、一番下見習いの子が床を掃除していた。荷物をロッカーにしまい、鋏の切れ味を確認、手入れは営業後、店を出る前に行う習慣で、朝は見落としのチェックだけにしていた仕儀である。直前に慌てたくない彼女は、約束の五分前には必ず到着しているタイプ。ロッカーの鏡で顔を見つめる。化粧をあまり施さない仕儀は同年代を下回る肌質、お客からも褒められることもしばしばだ。しかしそれは、子供をもうけていないからだとの意見も遠回しに、自由な独身生活をうらやむ発言で指摘するお客がほとんどだろう。腹が立つ時期はとっくに過ぎた。結婚が出産に結びついた現象と解釈すれば、理にかなった埋め込まれたシステムと解釈もできる。選択肢を私が選ばなかっただけのことで、なんら世間的な体裁を気にしなければ、あせって不釣合いな相手との共同生活に踏み切らなくてもいいのだ。髪形を整える。前髪はいつも決まって、真ん中から左右に流す。